2017年6月15日にアメリカ史上初のラッパーとして「Songwriters Hall of Fame」 ソングライター殿堂入りを果たしたジェイZは、わずか15日後のベストタイミングに最新作をドロップした!今回はアルバムのリリース前から戦略された巧妙なマーケティングとプロモーション戦法にフォーカス!
「4:44」が起こしたマーケティング展開とその影響
「4:44」は自社ストリーミングサービス”TIDAL””より独占先行リリースされ、TIDALは6か月の無料トライアルサービスを開始し、多くのユーザーを獲得した。
また、TIDALとパートナーシップを組んでいるアメリカの携帯電話企業”Sprint”ではチャリティー活動として1ミリオンプロジェクトを始動。低所得家庭の高校生を対象に1年間の無料インターネット、タブレット、PC、携帯などを1ミリオンつまり100万人に支援提供した。現在のアメリカ教育ではインターネットは欠かせないリサーチソースとなっており、端末やインターネット環境を持っていない多くの学生たちに絶好の機会を与えた。実際に成績や教育環境にもよい結果が知らされているという。また、すべてのSprintユーザーにも3か月のTAIDAL無料トライアルできるという優遇サービスも実地された。
「4:44」がもたらしたミステリアスなプロモーション!?
2017年6月7日にロスやNY、東京などの各地で突如現れた「4:44」と数字だけ描かれた謎の広告がドーン!と大きくそしてシンプルな形で現れた。道行く人たちからすると”謎のあまり気になってしょうがない””この …「4:44」???
すぐに日常会話やSNSで話題になり、もしかしてこれは…と語る人たちが続出!特にジェイZの出身地ブルックリン地区のメトロティック地下鉄「Jay Street」駅では多くのポスターが見られたことと、数字の「4」がジェイZやビヨンセに関連性があることから世間は「もしかしたらこれは彼らのコラボリリース?それともジェイZの新作リリース!?」など見る見るうちに噂が沸いた。
ミステリアスな広告が出現した後に動画CMもリリースされたのだが、これもなんとミステリアスだった。
CMは、とてもシックで芸術性があふれたタッチのストーリーがはじまる。しかも出演しているのはマハーシャラ・アリ、ルピタ・ニョンゴ、ダニー・グローヴァーなど、アフリカ系の有名な俳優たちではないか!しかも、ラストのクレジットが出てくる場面では「Executive produced by JAY Z」とな!!エグゼクティブプロデューサーとは製作総指揮を執るプロデューサーのトップ名称。ってことは、”何!?ジェイZが手掛ける映画がでるの?”と思わせんばかりのこの完成度に皆サプライズした。
また、TIDALとSprintのロゴもしっかりでてることから、もし映画だったらこれも”TIDALの独占リリース!?”と予想した人たちは他社のストリーミングサービスからTIDALへ乗り換える者も少なくなかった。
その2週間後の父の日には更に短編バージョンのCMがリリースされた。このCMではジェイZの新曲?と思わせる“Adnis.”というタイトルのラップが流れていることと、リリース日程が公開されたことから「4:44」は”ジェイZの最新アルバムだったんだ!”と皆謎説いた。リリース日は2017年の6月30日だった。皆まんまと「4:44」の困惑に一杯食わされたと気づくが、ジェイZの新作!今度はアルバム内容の話題に転換していくのであった。さすが、天下のビジネスマン!!何をするにも画期的である!
日本ではあまり知られていないが、実はアメリカでは4:44という時間に遭遇した場合、”エンジェルが近くにいるよ”というサインでもあるという。そして、ジェイZは、この時間に目覚めたのをきっかけに「4:44」を書き下ろしたという。
「4:44」をリリースした結果
例に見ない速さでプラチナムアルバムに!!
このアルバムを切っ掛けに企業を巻き込んで起こしたマーケティング戦法はチャリティー活動を起こし、多くの学生の教育環境を助け、TIDALとSpringユーザーを見事に増やした。
皆をサプライズするプロモ、メッセージ性の高い動画とアイデンティティ溢れるキャスティングは皆の注目を集め、人の想像力を働かせ、話題性を生み、地元ブルックリンに貢献し、リスペクトとプロモーションの両方を獲得した。
そして最新アルバムの楽曲リスト。まるでアリスの不思議の国へとつながる穴に落ちていくかのように、曲を聞けば聞くほどジェイZのクリエイトした物語に引き込まれていく。特にアフリカンアメリカンのヒストリーと現代社会を歌った”The Story of OJ”はその代表作をいえるだろう。アニメーションで再現しているMVを見て気づいたことが。。サプライズとこの物語はここからはじまるのか。。
しかし、あっぱれ!としか言いようのないジェイZのインフルーエンス(影響力)はどこまで広がっていくのか。これほど世を揺るがすジェイZはすでにラッパーを超え、プロデューサーを超え、実業家を超えた完璧なアーティストでしかない。
「4:44」MVの素材に使われた映像はSNSの投稿からジェイZがピックアップしたもの。現在の世界で巻き起こっていること、若者が何を求めているのか、親となったジェイZが子供の将来や若者の未来を考えた時に見直した現代を表現しているという。
今回はマーケティングについて述べたが、これだけがすべてはないだろう。アルバムツアーも始まっていることから、彼の快進撃は続いていく。まあ、まずじっくりアルバムを聞いてほしい。
TIDALはアメリカだけなので、日本ではアップルミュージックやアマゾン、Google playからストリーミング、購入が可能。「4:44」の感想や質問、意義があればぜひコメントへ。最後にジェイZ自身が解説コメントをつけたソングリストをUP。
「4:44」のアルバムソングリストとジェイZ本人による曲解説はこちら↓
Apple Music, Amazon and Google Play, leaving out Spotify.